検査室
病院で採血をすると、「AST 25」「ALT 18」「血糖 95」など、さまざまな検査結果が数字で表示されます。
では、液体である血液から、どうやってこのような数値を測定しているのでしょうか?
生化学検査では、血液や尿に含まれる成分と試薬を反応させ、そのときに起こる色の変化や光の変化、電気的な変化などを測定します。
自動分析装置は、その変化を正確に読み取り、あらかじめ設定された基準や検量線と照らし合わせることで、「検体の中にその成分がどれくらい含まれているのか」を数値として算出しています。
今回は、生化学自動分析装置で使われている代表的な3つの測定方法をご紹介します。
① 比色法 ―「色の変化」を測定する
血液に特定の試薬を加えると、測定したい成分の量に応じて液体の色が変化することがあります。
そこで自動分析装置は、反応した液体に光を当て、**どれくらい光が吸収されたか(吸光度)**を測定します。
一般的に、色が濃いほど光を吸収する量が多くなり、その変化から測定対象となる成分の濃度を求めることができます。
当院の生化学自動分析装置では、反応中の検体を入れた反応セルが装置内を移動し、吸光度計の前を通過するたびに測定を行います。
約10分間の反応時間の中で、34回の測光を行い、その測定結果をもとに演算しています。
そして、あらかじめ測定しておいた基準となる値(検量線)と照らし合わせることで、最終的な検査結果を数値として算出します。
② 酵素法 ―「化学反応の変化」を利用する
ASTやALTなどの検査では、酵素を利用した反応を利用して測定します。
測定対象となる成分が関係する化学反応を起こし、その反応によって生じる色や吸光度の変化、反応の速さなどを測定します。
例えばASTやALTでは、対象となる酵素が関係する反応を別の反応系と組み合わせ、その反応速度を測定することで、血液中にどの程度の酵素活性があるのかを算出しています。
つまり、目で見て「ASTが何個ある」というように直接測っているのではなく、化学反応によって生じる変化を測定し、その結果を数値に換算しているのです。
③ 電極法 ―「電気的な変化」を測定する
ナトリウム(Na)、カリウム(K)、クロール(Cl)などの電解質は、電極を利用して測定します。
血液中の電解質は、電気を帯びた「イオン」として存在しています。
そこで、それぞれのイオンに反応する特殊な電極(センサー)を使用し、発生する電位の変化を測定します。
その電気的な変化を計算することで、血液中にナトリウムやカリウムなどがどのくらい含まれているのかを数値として求めることができます。
「血液」が「数字」に変わるまで
このように、生化学検査では、採血した血液をそのまま数字に変えているわけではありません。
検体の分注 → 試薬との反応 → 色や光、電気的な変化の測定 → データの演算 → 検査結果の算出
という、さまざまな工程を経て、最終的に私たちが見る「検査結果の数字」になります。
普段何気なく見ている血液検査の数字の一つひとつには、試薬との化学反応や光・電気を利用した測定、そして自動分析装置による精密な計算が関係しています。
次回、血液検査の結果を見る機会があれば、「この数字は、どうやって測定されたんだろう?」と少しだけ思い出してみてください。
身近な血液検査も、実はさまざまな技術によって支えられています。

