リハビリテーション室は、患者さまと密に接する事が長く、訓練をしながら多くの素敵な人生経験談伺うことがあります。今回、ご了承いただいた方のお話を抜粋して、ご紹介させていただきます。
*Bさん*
今回ご紹介させていただくのは、78歳女性の方です。
初めは両変形性膝関節症の痛みでリハビリ開始となりましたが、状態を伺うと、お母様やご主人の介護をされ、どうも全身から疲れが感じられる、元気がないご様子でした。
「ご主人が他界後は何のやる気も起きないの。ずっと動かなかったら、足や腰が痛くなってきたの。」とおっしゃいます。
長年、ご主人のペースで動いていらっしゃいましたから、心身の疲労があり、したいことが見つからない、痛くて動けない。動く目的が分からないご様子にご自身で焦りを感じている様子もみられます。
しかし、息子さんと二人暮らしで、朝5時起きで息子さんのお弁当を作ったりされる心優しい方です。
こういった時は、したいことが見つかるまで、ゆっくりすることをお勧めしました。「まずは、ご自分を癒すことが大切です。また、少しでも興味がわいたこと、楽しいと感じることをやっていくことで、心が自分に戻ってきますね。」なんて話もしながら・・・。
お聞きすると、息子さん3人を育てられたそうで。子育ての色々な話をしてくださいました。
「子供は、砂浜に連れて行って走ったり、自然の中で遊ばせるようにしてたのよ。」
「下の子はね、お兄ちゃんがこれだけでやってきたんだから、あなたにもできるはずよ。といって、家のルールを教えるの、一番上の子を育てるのが大事なのよ。」など、子育てのポイントを伝授くださいました。
特に興味を引いたのは、子どもへの注射の伝え方です。
「子どもが小さい頃、注射は痛くないと教えなかったの。つまようじで腕をつんつんして、注射はね、これよりもう少し痛いよ。」と伝えていたのだそうです。
注射はどのくらい痛いかを具体的に伝えることで、子どもの恐怖心をやわらげる工夫です。素敵だなと思いました。「痛くない」とごまかすのではなく、どんなに小さくても誠実に説明をすることはとっても大事だなと再認識しました。そうやって、お子さんと向き合ったお話や介護の話を聞かせていただきました。
今では5ヶ月が経ち、腰や膝の痛みをあまり感じることはなくなったそうです。
リハビリを楽しく続けていただき、「ここに来ると元気になってうれしい。」とおっしゃり、がんばられました。今では、地域の運動などにも参加し、継続されているようです。
あと2回となりましたが、今の生活が継続できるように、外来でのリハビリテーションを通してお手伝いをさせていただきたいと思います。ご縁に感謝します。
リハビリテーション室 福岡